五葉松(ごようまつ)は、針のような葉が5本ずつ束になって出る日本固有の松です。北海道南部から九州の山地に自生し、葉が短く樹形が優美なことから、黒松の「盆栽の王様」に対して「盆栽の女王」と呼ばれます。ほかの松との見分け方、系統と接ぎ木の苗の見方を押さえたうえで、仕立ての形を完成図で一覧にし、五葉松に似合う形をまとめました。
いちばん確かなのは、葉の根元の束を見て本数を数えること。五葉松は5本、黒松と赤松は2本です。2本の松どうしは、葉に触ると見分けやすく、黒松は先が鋭く痛く、赤松はあまり痛くありません。葉は同じ縮尺で並べています。
五葉松は伸びが遅く、徒長枝が出にくいので、作った形が乱れにくいとされます。高い山の木なので寒さには強い一方、夏の暑さは苦手とされ、栽培の解説では梅雨明けからの日除けが勧められています。
五葉松は自生する地域ごとに葉や姿が少しずつ違い、盆栽では産地の名前で呼び分けます。
| どんなものか | |
|---|---|
| 四国五葉 | 四国の山に自生するもの。石鎚五葉・赤石五葉などが知られる。那須五葉・吾妻五葉と並んで「日本三大五葉松」とされる |
| 那須五葉 | 栃木・福島にまたがる那須連山に自生するもの。姿がやさしくきれいで、海外でも評判がいい |
| 吾妻五葉 | 福島県の吾妻連峰に自生するもの |
| 銀八ツ房 | 香川県高松市(鬼無・国分寺)の産地の主流。葉が短く銀色がかり、芽がたくさん出る |
| 瑞祥 | 八ツ房系の品種。生長が早く、数十年で幼苗から完成木になるため「昭和の夢の樹種」と呼ばれる |
葉の長さは地域で幅があります。太平洋側に多いヒメコマツ型は3〜6cmと短く、日本海側から北に多いキタゴヨウ型は6〜10cmと長めです。
盆栽用の五葉松は、産地では黒松の2年生の苗を台木にして接ぎ木で増やすのが主流です。本来は五葉松同士で接ぐのが理想ですが、台木が手に入りにくいため黒松が使われます。そのため、手頃な苗には黒松の部分が残っています。
松で見かける形を、見どころで3つに分けて五葉松で描きました。各カードの印は、下の「五葉松に似合う形」での見立てです。印のない形は、別の楽しみ方の形です。同じ形をほかの松で描いたものは 3種の比較 で見られます。
上のカタログの形のうち、五葉松の性質がいちばん活きる形を挙げました。○(似合う)の形は、カタログのカードの印で見られます。性質は出典のある記述によるもので、どの形を挙げるかはこのページの見立てです。
3種の手入れの違いと、形ごとの向き不向きは 松3種の比較 にまとめています。
完成図は、盆栽の販売サイトなどに並ぶ実物の写真を見て形の特徴を描き起こした模式図です。